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育毛剤の副作用|プロペシアによる起こり得る症状・メカニズムを解説

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2018.01.24

フィナステリドとは?

プロペシアは、フィナステリドという有効成分を含んだ育毛剤です。フィナステリドは、現在ではAGAと呼ばれる脱毛症に有効な成分として考えられていますが、開発過程では育毛や発毛に特化して研究されていた育毛剤ではありませんでした。

元々は前立腺肥大の薬として開発されていた医薬品であり、ノコギリヤシという植物の成分を研究して合成されたものです。実際に、近年まではドーピング作用を誘致する成分としてアンチドーピング機関に禁止薬物として認定されていた背景があります。

このリストから外れたのが2009年になってからであるため、フィナステリドの研究そのものが近年でも慎重に行われていることがわかります。そうした経緯を経て、AGAに効果のある育毛剤として研究が進められてきました。

20代でも脱毛症は発症する

正しいサイクルとは?

フィナステリドという有効成分は、脱毛症の主な原因物質であるジヒドロテストステロンの働きを抑制する効果があります。ジヒドロテストステロンはDHTと呼ばれているものであり、男性ホルモンを元に生成される物質です。

男性ホルモンは、5α還元酵素と反応することでDHTに変換されます。このDHTが毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体と結合することで強力な脱毛作用を発揮します。

問題なのは、この脱毛症が20代という若い年代であっても発症する点です。毛乳頭細胞には、男性ホルモン受容体という特殊な物質が存在し、この物質は体毛の成長サイクルを司っている存在であると考えられています。そのため、20代であってもDHTによって毛乳頭細胞の働きが狂ってしまうと、脱毛症を発症するリスクがあります。

  • 成長期
  • 退行期
  • 休止期

毛髪は、上記のように成長期・退行期・休止期を通して成長します。毛髪は永遠に成長しているわけではなく、あるときを境にその成長速度が遅くなります。毛髪に限らず、身体に存在するあらゆる体毛に関しても同様のことが言えます。

例えば、腕や足に生えている体毛は、どれだけ濃い男性であってもある一定の長さまで到達すると、それ以上の長さにはなりません。体毛の濃さや多さには違いはありますが、成長する長さには限界があることがわかります。

これは毛乳頭細胞に存在する組織が、体毛の成長サイクルに命令を出して成長期から退行期、そして休止期に移行するメカニズムになっているからです。一定まで伸びた体毛はそこで成長をやめて、新しい体毛が生えてくるまでの過渡期に入ります。

ほとんどの人は、抜け毛を経験したことがありますよね。実は、これは髪の毛の成長サイクルからするとごく自然なことです。古い髪の毛が抜け落ちていくと、今度はそこから新しい髪の毛の発毛と育毛が始まり、また成長期に入ってサイクルを繰り返すわけです。こうして毛乳頭細胞やその中に存在する男性ホルモン受容体は、適切なサイクルで育毛と発毛を管理しています。

成長のサイクルを壊すDHT

ところが、ここにDHTが作用すると本来ならば送信しない悪い信号を出してしまうようになります。例えば、成長期の段階にある毛髪に対して、無理やり退行期や休止期に移行するように命令を出すわけです。

問題なのは、成長しきっていない段階でサイクルを移行させてしまう命令を出してしまうことです。普通は質の良い育毛を経験させてから移行のシグナルが出るのですが、DHTによって狂ったサイクルでは毛髪が短くて細い段階で命令が出てしまいます。

その結果として薄毛に繋がり、髪の毛を支える力もなくなって抜けやすい状況になります。この場合、入念な抜け毛予防を行わないと若い年代で薄毛が進行してしまいます。

プロペシアの効果と副作用の関係

プロペシアでDHTを防ぐ

プロペシアには、脱毛症の原因であるDHTの生成に必要な5α還元酵素を阻害する働きがあります。DHTの生成を防ぐことができれば、成長期から無理に退行期や休止期に移行することがなくなるため、元通り質の良い髪の毛を育毛でき、抜け毛予防に繋がります。

実際の効果としては、1年間の臨床試験で約6割の患者が、2年の試験で約7割の患者が発毛の効果を得られたと回答しています。また、脱毛症が進行していた患者に対しても抜け毛予防の効果を発揮します。

臨床試験の総合的なデータからは、これらの効果を合算すると約98%の患者が何らかの良い効果を得られたと回答しています。それくらい、プロペシアの効果は医学的にも高く証明されています。

初期脱毛は副作用ではない?

プロペシアの副作用では、初期脱毛という症状が広く知られています。しかし厳密に述べると初期脱毛はプロペシアによる副作用だとは考えられていません。

初期脱毛は、古くなった髪の毛を新しい髪の毛にするために必要な現象であると判断されています。すでに述べた通り、人間の毛髪は成長のサイクルによって成り立っていて、これを改善しない限りは育毛や発毛を実現することができません。

プロペシアを服用すると、狂っていたサイクルに改善の効果が見られ、成長しなくなっていた毛髪に成長の兆しが見られます。新しく成長してきた髪の毛は、頭皮に存在する古くなった髪の毛を押し出して成長します。

このときに脱毛する現象が、いわゆる初期脱毛と呼ばれる副作用です。初期脱毛は、プロペシアの効果を体感するために必要な治療の過程で生じるものです。

つまり副作用というよりも薬の効果の一環ととらえる方が適切です。初期脱毛によって抜け落ちる髪の毛は、ヘアサイクルの乱れによって生じた毛髪であるため質の非常に悪い髪の毛です。

一方で、初期脱毛によって生まれた髪の毛はプロペシアの効果によって生まれた質の良い髪の毛です。そのため、深刻に考える副作用ではないということがわかります。

副作用がきつい?

基本的に、プロペシアの副作用はきつくありません。これは客観的な医学的なデータからでも明らかになっています。クリニックで入手可能なプロペシアには、一般的に下記の副作用が想定されています。

  • 性欲の減退
  • 肝機能障害

まず前提として知っておかなくてはならないのは、プロペシアの副作用そのものに関しては実は発症確率がものすごく低いということです。プロペシアは、初期脱毛を筆頭に様々な間違った情報が出ていることが多く、性欲の減退に関しても副作用についてはかなり異なる情報が巷で流れてしまっています。

プロペシアのような医薬品は、患者に対して処方される前に医薬品としてその安全性が高いのかを必ず検証します。これは人間を利用した臨床試験で行われます。

プロペシアの場合、性欲の減退に関する副作用の症例が出たのは軽度の症状でわずか1%程度であり、軽度または重度の副作用をすべて含めてもわずか2%程度しか存在しません。

では、なぜこれほど間違った情報がプロペシアでは多くなっているのでしょうか。それは、AGAという症状が男性ホルモンを原因として発症するからです。プロペシアは、男性ホルモンを抑える働きが存在しますので、性欲に必要な男性ホルモンが抑えられる結果、重度な性欲の減退に繋がる副作用が発症すると考えられてきました。

しかし、実際の臨床試験では全体のわずか2%程度の副作用しかないため、普通の医薬品と比較しても安全性の高い薬であるということがわかります。むしろ、頻度がわからず生じてしまう可能性があるのは肝機能障害の方です。こちらに関しては、患者が元々重度の病気を抱えていないか、ほかに薬を併用していないかなどによって出現頻度が変わります。そのため、肝機能障害が生じた場合にはすぐに医療機関に相談することが大切です。

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