栄養補給という観点
髪の毛の正体はケラチン
髪の毛はタンパク質の一種であるケラチンという物質でできています。このケラチンは爪や鳥類のクチバシ、それから爬虫類のウロコと同じ成分で、人体の中でも強靭な物質といえるものです。
「髪の毛は老廃物からできている」という説もあるようですがそれは乱暴な話で、きちんと物質は特定されていますし、紫外線や物理的な影響といった外的刺激から肌を守るという役目も担っています。
このケラチンというタンパク質は、各種アミノ酸を合成することで生み出されます。特に毛髪を含む私達の体毛は「シスチン・グリシン・チロシン」という3種類のアミノ酸を主成分としたケラチンなのです。
また、同じようにケラチンからできている爪は透明ないし白色をしていますが、髪の毛は黒い色をしています。これはメラニン色素によるものです。メラニン色素は私達の全身に含まれていて日焼けすると黒くなる細胞となります。
このように、髪の毛は主成分のケラチンと色素のメラニンが組み合わさってできている細胞なのです。ということはこれらの主成分がなければ、髪の毛は存在しないということにもなります。髪の毛のケラチンを構成する「シスチン・グリシン・チロシン」がなければ当然髪の毛もなくなるのです。
これらケラチンの材料はどこから補給されるのかというと、毛穴の奥深くにある血管です。この血管から毛乳頭という細胞へ材料が送られて、毛乳頭が自身を覆っている毛母細胞なる細胞へと栄養と発毛命令を出し、やがて毛母細胞が栄養を活用してケラチンを生産していく流れとなります。
血液の流れこそが重要
私達の体に備わっている血管は、ありとあらゆる生命活動を可能としてくれる栄養の補給路です。血管がなければ酸素を運ぶこともできませんし、脳が活動することもなく、また筋肉さえ動かすことはできないでしょう。そして育毛にとっても血管は大事な要素です。
もし頭皮に髪の毛の主成分であるケラチンの材料「シスチン・グリシン・チロシン」が送られなかったら、当然髪の毛が生えてくることはありません。なぜならそこに髪の毛を生やす材料がないためです。また材料が少なければ髪も痩せ細るようになります。
材料から加工品を作り出す工場と、そのルートを考えてみましょう。工場へ向かうルートにはさまざまな材料が流れており、そこには「シスチン・グリシン・チロシン」も存在しています。
もしこのルートが細かったり壊れていたりしたら、当然髪の毛という加工品の生産数は低下しますし、ルート自体が存在しなければ髪の毛の生産は完全に停止するでしょう。それは逆に言えばルートと材料さえ確保すればどんどん髪の毛を生産できるということなのです。
髪の毛が生えるには健康的な血管を維持することがポイントです。きちんと髪の毛を生やすための材料を髪の毛生産工場へと送り届けなければなりません。原材料が少なかったとしてもまず取り組むべきは、きちんとしたルートの確保と整備なのです。むしろここからが育毛対策のスタート地点といえるでしょう。
血流を改善してくれる育毛剤成分
ニコチン酸アミド
別名ビタミンB3やナイアシンとも呼ばれるこの成分は、体内で必須アミノ酸のトリプトファンから作られるほど人体と親しい関係にあります。体内ではエネルギーを作ったり、炎症や神経症状を抑制したりといった効果を発揮してくれる物質です。
中でも有用な機能として、血管拡張作用が認められています。塗り薬や化粧品にも配合されることのある物質で、安全性は高く育毛剤として使用してもまったく問題はありませんが、副作用として血管拡張作用による顔面の紅潮やかゆみが現れるかもしれません。
それからどんな物質であっても過剰摂取が害になるように、ニコチン酸アミドも取り込みすぎると内蔵機能を低下させてしまうことがあります。用法用量を守って使うようにしましょう。
グリシン
髪の毛を構成するケラチンを構成するアミノ酸を「シスチン・グリシン・チロシン」と述べましたが、まさにその中のひとつであるグリシン自体が血管拡張作用をもっているのです。もちろん人体を構成するアミノ酸のひとつなので基本的に無害で、育毛剤のほかには食品添加物などにも利用されている物質となります。
グリシンは意識しなくても摂取しているかもしれません。例えばコンビニで販売している弁当などに使われているご飯には、グリシンが含まれていることがあります。グリシンはデンプンを固まらせず水分を保持するという性質があるためです。また、食品添加物としては「pH調整剤」という名前で配合されていることもあります。
育毛剤は経口摂取するわけではないので髪の毛の材料としてグリシンに期待するというよりは、血管拡張作用のある成分を塗布するという意味でとらえておくと良いでしょう。材料がルートを整えるという不思議な構図となりますが、ともかくグリシンには血流改善効果が認められています。
原因を見極めて対処していこう
正常な状態を保つのに役立つ育毛剤
私達が暮らしているだけでもさまざまな要因により、頭皮の健康バランスは崩れてしまいます。タバコは血流を低下させアルコールは逆に血流を増大させてしまいますし、睡眠不足はホルモンバランスを崩し運動不足も筋肉量の低下に繋がります。崩れた生活習慣が続いてしまうと、やがてその影響は皮膚、つまり頭皮にまで及んでしまいます。
例えばフケが出たら、頭皮が乾燥しているサインです。フケは皮膚の表面にある角質層が剥がれ落ちたもので、多ければ多いほど皮膚が乾燥していることを示しています。対策をするためには生活習慣を改善するほか、保湿成分を配合した育毛剤を使うと良いでしょう。
また頭皮が脂っぽくなったと感じた場合にも育毛剤は効果的です。例えばユニトリエノールという成分が配合された育毛剤は過剰な皮脂を洗い流し、皮脂を適量に保つことで頭皮の健康を整えてくれます。
このように、問題の原因を見極めて育毛剤を使っていけば健康な頭皮を保つことができるでしょう。ただし、原因が特定できない場合もあるかもしれません。その場合にはAGAの疑いが浮上します。
20代からの薄毛は遺伝が原因かも知れない
男性の特に20代という若い方が薄毛になるケースでは、遺伝による男性型脱毛症(AGA)が考えられます。専門家によるAGAの治療には、性欲減退などの強めの副作用を伴う薬を服用することになるので、20代という若い年代ならまずは市販の育毛剤を試してみると良いかもしれません。副作用に懸念が残る場合は、とりあえず副作用の心配が低い育毛剤を使うことをおすすめします。
全体を見据えた対策方法
カギとなる抜け毛予防
育毛において下地作りが大事であることを述べてきましたが、下地がきちんとできていれば髪の成長も整ってくるはずです。ただし、抜け毛は必ず出ます。髪には成長サイクルがあり、これを一定期間で循環しているため抜け毛を止めることはできません。
つまり、抜けやすい髪を作らないことが大事になるわけです。下地ができていない頭皮は髪への栄養補給が十分でないため、髪が抜けやすくなってしまいます。
それは逆に言えば栄養をきちんと補給できる下地さえ作っておけば髪はきちんと成長するということを表しているのです。抜け毛予防という言葉が目指すのは、丈夫な髪の毛がしっかりと成長してから抜け落ちるサイクル作りとなります。
ストレスをためないことも重要
抜け毛予防をサイクルの正常化と考えれば、抜け毛にショックを受けずに済みます。また育毛対策においてストレスは大敵なので、深刻にとらえないように過ごしましょう。ストレスは血流量を下げ、髪の毛の栄養状況を悪化させてしまいます。常日頃からストレスをためずに、育毛剤を使いつつ対策をしていきましょう。
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