総合的なケアが必要な育毛対策
育毛は総合的なもの
私達の頭に生えている髪の毛というのは、様々な要素が絡み合った結果生み出されるものであり、決して単純な過程で生えているものではありません。取り入れた栄養素を無数の酵素が分解し別のものを作る材料にするという工程はとても難しく、複雑です。髪の毛のようなものを一切食べていないのに、頑丈で黒々とした繊維状の髪の毛が出来上がる、という現象は改めて考えてみても不思議なものといえるでしょう。
そんな複雑な過程を経て生成される髪の毛は、複数の原因から結果として生み出されます。そのため総合的なケアをする必要があるのです。例えば「栄養を補給するだけ」「血行を改善するだけ」ではあまり意味がありません。
両者を掛け合わせた形、つまり栄養を補給しつつ血行を改善することで、より大きな効果を感じることができるでしょう。そこに抜け毛予防対策まで加わったなら心強いことです。
育毛剤が無数の成分を配合している理由
育毛剤の成分表記を見れば分かりますが、かなりの数の成分が配合されています。それはなぜかというと、育毛には総合的なケアが必要だからです。どの成分にもそれぞれ異なる役割が課せられています。成分は、消炎作用、皮脂洗浄作用、血管拡張作用などの作用を頭皮にもたらすでしょう。育毛剤とは育毛をするために生まれた、ハイブリッドな存在なのです。
今回は、育毛剤の中でも特に注意したい3本柱「栄養補給・血行改善・抜け毛予防」への効果が期待できる代表的な成分についてみていきましょう。ここで紹介していない成分にもこれらの効果をもたらす成分は存在するので、気になる成分を見つけたら調べてみるのも良いかもしれません。
栄養補給で丈夫な髪の毛作り
原料はアミノ酸
私達は、様々な食べ物を摂取することではじめて活動をすることができます。いかに優れた肉体や頭脳をもっていたとしても、何かしら食べなければその力を発揮することはできません。それと同じように、髪の毛にもまずは栄養が必要です。逆にいえば髪の毛に栄養が足りないと、丈夫な髪の毛にはなりません。
気付いていないだけで髪の毛の栄養を補給できていないだけだった場合、適切な栄養素を補給するだけで髪の毛が生えてくる可能性があるということになります。薄毛の原因が髪の毛の原料が少なかったことなら、解決の可能性は十分にあるのです。髪の毛はケラチンというタンパク質を主成分としているので、ケラチンを配合した育毛剤を使うと良い影響が見られるかもしれません。
また、ケラチンは各種アミノ酸を合成して作り出される物質なので、それらを配合した育毛剤も検討してみると良いでしょう。髪の毛に含まれているアミノ酸は多い順に「シスチン・グルタミン酸・アルギニン・スレオニン・セリン・ロイシンなど」となります。育毛剤には「L-シスチン」といった表記で配合されていることがあるので、チェックしてみましょう。
また、可能であればサプリとしてロイシンなどの必須アミノ酸も補給しておきたいところです。原因が栄養にあるなら、適宜補給してみましょう。
亜鉛とビタミンB群も欠かせない
ケラチンの原料はアミノ酸なのですが、実はそれだけではケラチンを合成することはできません。このときに合成を成立させる栄養素が亜鉛なのです。つまりアミノ酸だけでも亜鉛だけでもダメで、両方を摂取しなければなりません。
また、亜鉛の吸収を高めるビタミンB群も欲しいところです。もし髪の毛の栄養不足により薄毛になっているとしたら、これらの栄養素が配合された育毛剤を使うことで改善することができるかもしれません。
血行改善で栄養を運んであげよう
栄養は血管に乗って髪まで届く
栄養を十分に補給できたとしても、髪の毛まで栄養を運ぶことができなければ元も子もありません。栄養を髪に届けるのは、血管です。栄養状態を改善しただけでは栄養の使い道が無い状態になってしまうだけなので、栄養補給と同時に血行の改善も考えなければいけないのです。
もちろん髪の毛に血管は繋がっていません。血管が繋がっているのは髪の根元にある「毛乳頭」という細胞です。髪の毛は毛乳頭の周りを覆っている毛母細胞が細胞分裂することで成長していったものなので、毛乳頭は毛の生産工場ということができるでしょう。この毛乳頭に血管から栄養を補給してやらない限り、毛は生えてきませんので、血流を改善して毛乳頭にどんどん栄養を送り込んであげましょう。
育毛剤に配合されている血行を良くする成分として代表的なものはトウガラシエキスです。トウガラシエキスにはカプサイシンという成分が含まれていて、このカプサイシンが作用することで血流を改善することができます。
カプサイシンは痛みや熱さの受容体を刺激します。すると刺激を受けた体は自らを熱いと錯覚し、体温を下げようと奮闘するのです。そして発汗や血管拡張による血流の改善が引き起こされます。実はトウガラシを食べたときに熱いと感じるのは細胞の錯覚であって、実際に体温が上がっているわけではないのです。細胞が熱いと錯覚することで、塗布した皮膚の血管が拡張され、血流を改善することができるでしょう。
様々な血管拡張成分
トウガラシエキス以外にも天然成分の中ではセンブリエキスやショウキョウチンキといったものが血管拡張作用をもっています。他にはビタミンEやニコチン酸ベンジルといった成分も同様に血管を拡張してくれるでしょう。血管を拡張し血流量が十分確保できれば髪の毛にも栄養が行き渡るようになります。なお副作用として頭痛が発生するケースもあるので、その場合は使用を止めましょう。
抜け毛予防をしてこその育毛
髪のサイクルを正常化
髪の毛は一定のサイクルを繰り返して生え変わるものです。成長し、ある程度の期間に到達すると自然と成長は止まり、抜け落ちて行きます。このサイクルはヘアサイクルと呼ばれ、20代などの若い内は正常に機能するのですが、加齢により段々と成長期が短くなってしまうのです。
また近年では加齢のみならず、20代の若者でも薄毛になるケースが見られ、この症状のことをAGA(男性型脱毛症)と名付けるようになりました。AGAは20代であったとしても発症することがあり、若いからといって安心することはできません。栄養補給や血行改善の他に、ヘアサイクルを正常化する抜け毛予防についても目を向けていきましょう。
医薬品は効果があるものの副作用も強い
ヘアサイクルを乱すAGAに対する薬成分にはフィナステリドというものがあります。この成分は、医薬品の内服薬として専門機関で処方してもらうことができますが、副作用が強く気軽に使えるものではありません。
効果が強いので市販されていないため、手に入りにくい品物でもあります。それに対して副作用を気にせずいつでも試せるのが、市販品の育毛剤です。気軽という点に限れば育毛剤を試す価値は十分にあるでしょう。
抜け毛予防に効果が期待できる「t-フラバノン」
抜け毛予防の分野は未だ発展途上にあり、医薬品のフィナステリドなど限られた成分以外には十分な実験が行われていないというのが現状です。それもそのはず、1回の実験にはとてつもない費用がかかるので、そうそう簡単に実施することができません。ですが中には、小規模な実験ながら成果を出しているものもあります。
t-フラバノンという成分を配合したものを14例の被験者を対象として6ヶ月投与したところ、毛量と抜け毛の量に目に見える効果が確認できました。また197例の被験者を対象とした場合も同様で、男性限定ではありますがしっかりと効果が出ています。
もし抜け毛予防を目指して育毛剤を手に入れるときは、t-フラバノンが配合されているかどうかをチェックしてみて下さい。
このコラムが気に入ったら
ぜひ「いいね!」をお願いします♪
みんなに役立つ情報をお届けします。